ツアー案内人
ノースポールステイブル 蛭川 徹・千鶴子
幕別町忠類にあるノースポールステイブルは、蛭川 徹さんと千鶴子さんが、現役を引退した競走馬や事情があり行き場をなくしてしまった馬たちと共に生活する場所です。競走馬の牧場での仕事を経てここに辿り着いた2 人と馬たちのライフスタイルは、私たちに「生きる速さ」を思い出させてくれます。
馬たちが教えてくれる「生きる速さ」
明治開拓期、懸命に土地を開墾する人々を支えたのは、農耕馬の存在でした。切り株を引き抜き、田畑を耕し、山から木を運び出すなど、重要な労働力として。そして、開拓期を生き抜く仲間として精神的な意味でも人々を支えてきました。そんな「馬と人が共にある暮らし」を今も実践しているのが、ノースポールステイブルの蛭川さん夫妻です。かつては、徹さんの実家である競走馬の育成牧場で働いていた2人 。事故やケガ、それから年齢の関係で現役を引退し、行き場をなくしてしまう現状を目の当たりにしたことから、「人と馬が一緒に年をとっていける場所を」という思いを抱き、現在の土地へと移り住みました。
ノースポールステイブルでは、人も馬もそれぞれの役割をもって暮らしています。徹さんの本業は装蹄師。馬たちは、倒木を運んだり、畑を耕したり、時には訪れた人 を乗せて森を案内したりするのが仕事。「自分たちが食べる分の牧草代を自分たちで稼ぐ」というのが、ここでの生き方です。「馬たちが生きる速さを教えてくれる」と、千鶴子さんは話します。飾らずに、自然体で過ごすこと。無理をしない速度で生きること。機械化や効率化が進み、あらゆる面で便利さやスピード感を求められる世の中が本当に持続的なのか。そんな疑問を抱えながら生活している人も少なくはないはず。馬たちの歩むスピード、そして馬と共に暮らし続ける2人のライフスタイルは、一 つのヒントを与えてくれるでしょう。
今回のツアーでは、乗馬体験をした後で、蛭川さんと共に焚火を囲む予定です。火を眺めていると不思議と心が開かれるもの。せっかくの機会、温かいコーヒー片手に蛭川さんとの会話をゆっくりと楽しみましょう。普段敷地内で思い思いに過ごしている馬たちも、近くに来てくれるかもしれません。その優しい眼差しに、蛭川さん夫妻と馬 たちとの関係性が表れています。
Day 1:食の宝庫・十勝の入 り口 へ
集合後、新嵐山スカイパーク展望台まで移動し、十勝平野からの景色を眺めます。じゃがいもや小麦などの畑がパッチワーク状に広がる光景を、ガイドの説明と共に楽しみます。日中はファーマーズマーケット「愛菜屋」や六花亭ガーデンなどを巡りつつ、十勝の食の豊かさ、地域の成り立ちについて学びます。夜は地元ガイドと共に地域の人が集う「北の屋台」へ。地元の人と交流しながら、十勝産食材の味を堪能しましょう。
宿泊: ホテル(洋室)
アクティビティ: 居酒屋体験
難易度: 低い(★☆☆☆☆)
Day 2:十勝に根づく農家の暮らし、馬文化を体感
少し早起きをして地元の農園へ。新鮮な野菜を収穫していただきます。採れたての野菜は瑞々しくそのおいしさに驚くはず。時期によっては、作物の収穫や出荷作業の様子なども見学できるかもしれません。収穫体験の後は、十勝ならではの野菜の保存方 法「雪室」を見学します。午後からは、十勝の農業を支えてきた「ばん馬 」文化について紹介します。馬の資料館を訪れ、昔ながらの暮らしに触れた後は、本物の馬たちが暮らす「ノースポールステイブル」へ。乗馬体験をしながら、北海道の馬文化、馬たちとの暮らしにまつわる話に耳 を傾けましょう。その後は、世界で唯一 競技として残されている「ばんえい競馬 」を体験。さまざまな角度から、北海道の馬文化について理解を深める一日です。
宿泊:ホテル(洋室、和室)
アクティビティ: 農業体験、乗馬体験
難易度: 低い(★★☆☆☆)
Day 3:十勝らしさを五感で味わうサイクリング&ピクニック
帯広市街地から車で40分ほどの鹿追町へ。ばん馬文化が盛んだったとされ、農業が盛んな町です。地元のサイクリングガイドと共に、広大 な十勝平野を駆け抜けます。畑作地帯らしい匂い、トラクターの音 、作物が風に揺れる畑の風景などを体感しましょう。サイクリングの途中は、地元のパン屋やソーセージファクトリーへ寄り道。食材が揃ったら、近くの公園でピクニックランチを楽しみます。青空の下、地元ならではの味を楽しめば、十勝の農業の魅力を深く実感できるでしょう。
アクティビティ: E-bikeサイクリング(3時間/30km)
難易度: 低い(★★☆☆☆)